島根県農業技術センターで育成された系統である紫黒米105は,アントシアニン色素を豊富に含み,機能性食品素材として期待されるため,ラジカル消去活性測定および色素の同定を行った.HPLC分析により2つのピークが検出され,NMR分析,LC/MS分析などによりCy3-glcとPn3-glcを同定した.これらの色素を含む精製色素画分にはDPPHラジカル消去活性,スーパーオキサイドラジカル消去活性が見られた.精製色素画分のラジカル消去活性値に対するCy3-glcおよびPn3-glcの活性は60%であった.色素以外の活性成分として,プロトカテク酸を同定した.プロトカテク酸はCy3-glcが酸化分解される過程で生成することからCy3-glcに由来するものと推察された.Cy3-glc, Pn3-glcおよびプロトカテク酸の活性は精製色素画分の活性の70%程度であった.