C. elegans を用いて,納豆抽出物のin vivo抗酸化活性を次の2つの方法により検討した : (A)メチルビオロジェン(MEV)の生体内での活性酸素生成促進作用を利用し,抗酸化物質(測定試料)およびMEVを含む寒天培地で C. elegans のL1幼虫を同調培養し,正常な成熟期間内に成虫化した個体数を抗酸化活性の指標とする方法,(B)マイクロプレートを用いて抗酸化物質(測定試料)を含む液体培地で C. elegans を同調培養し,成熟後にMEVを加えて24時間ごとの生存率を抗酸化活性の指標とする方法.(A)の方法では,7種の納豆菌株によりそれぞれ調製した納豆および蒸煮大豆の抽出物について抗酸化活性を調べた.加えて,in vitroの抗酸化活性検定法(DPPHラジカル消去能およびSOD様活性)による検討もあわせて行い,それらの結果を比較した.in vitro法では,蒸煮大豆と納豆の活性間に有意差が認められ,発酵により抗酸化活性が高くなることが示された.ただし,(A)の方法とSOD様活性では菌株により活性は異なり,特に(A)の方法では一部の納豆に高い活性が認められた.続いて,最も高い活性を示した菌株を用いて,発酵時間による抗酸化活性の変化を調べた結果,製品として適する品質となる20時間の発酵が分岐点となって,活性が高まることが示された.(B)の方法では,(A)の検討で抗酸化活性が最も高いと判定された菌株について重点的に調べた.その納豆抽出物を部分精製したところ,分子量が14000以下でC18カラムに保持された画分に強い活性が確認された.この粗精製物および標準的な抗酸化物質である没食子酸を(B)の方法によりそれぞれ測定した結果,いずれも濃度に依存した抗酸化活性の上昇が認められた.