本研究では,AOAC Internationalの基準に基づき,代表的な抗酸化物質を用いて抗酸化能測定法であるH-ORAC法の室間共同試験を行い,精度の調査を行った.室間共同試験には5種((+)-カテキン,Trolox, trans -フェルラ酸,ヘスペレチン,コーヒー酸)の抗酸化物質溶液および粉末を用いた.その結果,RSDrは溶液試料で5.9~13.2%,粉末試料で5.4~10.4%であり,RSDRは溶液試料で16.2~61.4%,粉末試料で16.9~33.2%であった.Trolox検量線の上限濃度である50μMから算出したHorRat値は溶液試料で1.48~5.62,粉末試料で1.54~3.03であり,本室間共同試験によって妥当性が確認されたとは言い難かった.室間再現性低下の要因として,プレートリーダーの特性に起因するウェル間での蛍光強度変化の差異挙げられ,これを低減することがH-ORAC法の室間再現性向上に重要と考えられた.