東京都内で市販されていた紫サツマイモを原材料に用いた61種の加工食品に含まれる主要な8種のアントシアニンを定量した.紫サツマイモのパウダー,フレークおよび干し芋を分類した一次加工食品(10種)には,主要アントシアニンが,53.22~936.26mg/100gの範囲で含まれていた.紫サツマイモを原材料に用いた清涼飲料水や醸造酢,また醸造酢を原材料とする清涼飲料水を分類した飲料形態の加工食品(13種)には,1.19~131.95mg/100mLの範囲で含まれていた.11種の紫サツマイモ油加工食品(チップス・かりんとう)は,33.00~376.39mg/100gの範囲で主要アントシアニンを含んでいた.紫サツマイモを原材料に用いた洋菓子,和菓子およびジャムを分類した二次加工食品(27種)の主要アントシアニン含量は,1.01~69.75mg/100gの範囲であった.また,紫サツマイモの一次加工食品では10種中9種,飲料では13種中13種,油加工食品では11種中6種,二次加工食品では27種中21種において,ペオニジン系アントシアニンの占める割合が70%以上のアントシアニン組成であり,これら加工食品が「アヤムラサキ」「ムラサキマサリ」を原材料にしていると推定された.一方,シアニジン系アントシアニンを多く含む紫サツマイモ加工食品は,紫サツマイモそのものを加工した食品である油加工食品に多く存在した.