今回の試験結果から,とろみ付与による呈味成分の強度変化については官能評価と味覚センサでほぼ一致することが確認され,味覚センサを用いた評価系を利用できることが示された.官能評価に要する多大な労力とパネルの能力による評価のばらつきのリスクを考えると味覚センサによる評価は,とろみ剤の性能を評価する一つの手法として十分に利用可能であり,官能評価と互助的に利用することで味質評価の精度を高めることが期待できる.今後の課題として,とろみが味強度に及ぼす影響について,官能評価との整合性を高めることがあげられる.また,とろみ剤添加による物性値の変化と味覚センサの出力変化との関係を解析することにより,味と物性を総合的に捕えた高性能とろみ剤の創出に寄与することなどがあげられる.