生食可能な紫ニンジン(タキイ種苗,TCH-721)のアントシアニンおよびカロテノイド色素組成を明らかにし,調製した両色素抽出物を拘束ストレス負荷マウスに投与して生体内反応に及ぼす影響を調査した. (1) 紫ニンジンにはアントシアニンとして,いずれもシアニジンをアグリコンとする5つの化合物が含まれていた.またカロテノイドとして,β-およびα-カロテン,フィトエンが含まれていた. (2) 紫ニンジンから調製したカロテノイドおよびアントシアニン色素抽出物を各々単独,あるいは両者の混合物を拘束ストレス負荷マウスに投与したところ,拘束ストレス負荷により増加するマウスの血漿動脈硬化指数,血漿および肝臓の脂質過酸化度の増加がいずれも抑制された. (3) 同じく拘束ストレス負荷マウスで増加する肝臓総コレステロールは,カロテノイドまたはアントシアニンを投与したマウスでは低下傾向にあったが,両色素の混合物投与により有意に低下し,カロテノイドとアントシアニンの相加的効果が認められた. これら結果から,紫ニンジンに含まれるカロテノイドおよびアントシアニン色素抽出物には両者の相加的な効果を含め,抗ストレス作用が期待できることが明らかになった.