pH 4.6未満での酸性飲料の製造工程における安全性を有機酸によって確保することを目的として,有機酸濃度とpHに対する有機酸の静菌効果の関係を調べた.その結果,培地中において,pH 4.6ではクエン酸80 mM,酢酸40 mM,乳酸40 mM 以上添加した場合に静菌効果が見られた.pH 4.4ではクエン酸40 mM,酢酸20 mM,乳酸5 mM以上添加した場合に静菌効果が見られた.pH 4.2では試験した有機酸全て5 mM 以上添加した場合に静菌効果が見られた.次に野菜汁中において,クエン酸はpH 4.6では80 mM 存在下でも静菌効果は見られず,pH 4.4では40 mM 存在下,pH 4.2では20 mM 存在下で静菌効果が見られた.市販野菜飲料中において,有機酸無添加の場合,市販野菜飲料Aおよび B それぞれpH 4.0∼4.4,pH 4.3∼4.6の全てで静菌効果が見られた.またpH 4.2の場合,クエン酸20 mM 以上存在下,乳酸5 mM 以上存在下では静菌効果が見られた.官能試験の結果,野菜飲料から酸味が無くなるとおいしいと感じなくなるため,pH 無調製の野菜飲料にクエン酸を20 mM 程度含むように添加したものが適度に酸味を感じ,評価が高い結果となった.