近年,高齢者における誤嚥性肺炎の発症者数が増加している.誤嚥性肺炎の予防には,口腔細菌叢の改善が重要と考えられている.例えば,選択圧により口腔の細菌の割合を増加させたりする.そこで, in vitro で種々の食品成分が口腔細菌や誤嚥性肺炎の起因菌などの増殖に及ぼす影響を調べた.15μg/mlの(−)-Epigallocatechin Gallate (EGCg)液は,口腔に常在の細菌( S. mitis, S. oralis, S. salivarius )の増殖率をおよそ50%抑制した.しかし,そのEGCg液は S. pneumoniae, S. sanguinis, S. mutans, E. faecium, P. aeruginosa および E. coli などの増殖は抑制できなかった.10mg/mlのXylitol液は,レンサ球菌の増殖率を50%前後抑制した.しかし,グラム陰性菌種の増殖率は,抑制できなかった.5mg/mlのCaffeine液は,口腔に常在の細菌の増殖率をおよそ50%抑制した.この時,誤嚥性肺炎の起因菌の増殖率は,口腔に常在の細菌よりもより強く抑制された.