糊化させた米のパンの品質への影響を評価するため,小麦粉パン,米粉パンに加え,糊化させた米粉を添加したパン(糊化米粉パン),お粥を加えたパン(お粥パン)を調製し,それぞれの形状,粘弾性係数,および気泡パラメータを計測した. (1) お粥パンが最も膨張し,糊化米粉パンも小麦粉と同等に膨張したことから,糊化処理した米の添加によってパンの膨張が促進されることが分かった. (2) 糊化させた米を添加したパンは,小麦粉,米粉パンより粘弾性が低い,つまり柔らかいことがわかった. (3) 4種類のパン試料の気泡構造は同一であったことから,粘弾性の差は気泡壁(固相)の違いに依るものと推察された. 以上より,糊化処理をした米粉または米の配合が15%の場合,グルテンなどの品質改良剤や,特別な前処理なしで従来の小麦粉100%のパン,または米粉パンより膨張性が良く,柔らかい食感を持つパンを調製することが可能であることが確認された.