テラピアのウロコから抽出した高分子量および低分子量の2種類のフィッシュコラーゲンペプチドやゼラチンを添加することによる,コンニャクグルコマンナンとκ-カラギーナンの混合ゲルの物性に対する影響について検討するため,押し出し試験,動的粘弾性,咀嚼筋筋電位を測定した. フィッシュコラーゲンペプチドを添加したグルコマンナンとκ-カラギーナン混合ゲルは,フィッシュコラーゲンペプチドの分子量に関係なく,添加量が終濃度0.8%未満であれば,ゲルの破断荷重は上昇し,終濃度0.8%になると,ゲルの破断荷重が減少した. また,ゼラチンを終濃度0.8%添加したゲルは,破断荷重,破断歪率は高いが,ゲルの融解点が低下した. 押し出し試験において,唯一壊れやすい性質を示した高分子量のフィッシュコラーゲンペプチドを終濃度0.8%になるように添加したゲルのみ,咀嚼筋筋電位で有意に低い値を示した. 以上により,グルコマンナンとκ-カラギーナンの混合系に,高分子量のフィッシュコラーゲンペプチドを添加することにより,口腔内で融けることはないが咀嚼しやすいゲル,ゼラチンを添加することにより口腔内で融け出しやすいゲルを調製できることが示唆された. 本研究の一部は農林水産省委託実用技術開発事業22026の助成を受けて行われた.