小麦粉生地で発生するスペック(ホシ,黒点)の抑制成分を各種食品素材よりスクリーニングした結果,焙煎米糠抽出物(RRBE)にスペック抑制作用を見出した.RRBE,コウジ酸(KA),L-アスコルビン酸(AA)について,小麦粉生地のスペック抑制効果を調べたところ,AAにはスペック抑制効果が見られず,RRBEとKAはほぼ同等のスペック抑制能力を有していた.L-チロシンを含む小麦粉スラリーの変色抑制効果について色差計により評価したところ,KAが最も L 値変化の抑制効果が強く,次いでAAで,RRBEは最も抑制効果が弱かった.チロシナーゼとペルオキシダーゼを小麦ふすまより部分精製し,両酵素によるメラニン合成活性を調べた結果,ペルオキシダーゼのみではメラニン合成活性が検出されず,チロシナーゼと共存した場合にのみペルオキシダーゼの濃度に比例してメラニンの合成が促進された.両酵素に対するRRBE, KA, AAの阻害活性を比較したところ,RRBEの阻害活性が最も弱い結果となった.RRBEは酸化酵素阻害活性が弱いにも関わらず,KAと同等のスペック抑制効果があることから,スペック抑制には阻害活性の強弱以外の要因があることが示唆された.