多機能オーブンレンジのオーブン(Ov),グリル(Gr),スチーム(Sm),マイクロ波(Mw)加熱機能および過熱水蒸気のオーブン加熱機能(SSO),過熱水蒸気のグリル加熱機能(SSG),スチームとマイクロ波の併用加熱機能(Sm+Mw)の違いを,食パンのテクスチャー,水分,焦げ色を指標として比べた. (1) 過熱水蒸気を使用したSSG, SSOでは加熱初期に急速に軟化し,軟らかさとパリ感を兼ね備えた破断特性が得られた.オーブンとスチームを併用したSm 180℃では軟化効果のみが認められた. (2) 過熱水蒸気のグリル機能(SSG)では焦げ速度がGrの約2.5倍,過熱水蒸気のオーブン機能(SSO)では焦げ速度がOvの約2倍速く,Sm 180℃では焦げ速度がOvの約1.2倍速かった. (3) 一定の焦げ色に到達した時間はSSG<SSO<Gr<Sm 180℃<Ovの順となり,短時間で焦げた試料ほど残存水分量が多くなった. (4) モデル系を使って水分布を調べた結果,SSG, SSOに特有の破断特性は,試料表面の乾燥の速さ,焦げ速度の速さ,内部水分量の多さによって説明することができた. (5) マイクロ波加熱したパンは急速に硬化し,Ovの約2倍大きい破断特性を示した.スチームを併用することによって硬化時間は遅くなったが,長く加熱するとMwと同じ硬さになった.