高知県長岡郡大豊町に伝承されてきた「碁石茶」は,独自の製法による後発酵茶である.現在までに,我々は,碁石茶が抗酸化活性と動脈硬化抑制効果を有し,機能性食品として有用であることを明らかにしてきた.C57BL/6Jマウスは,高脂肪食投与により,ヒトに類似した代謝性疾患,脂質異常症,高インスリン血症を発症するため,メタボリックシンドロームを反映した動物モデルである.今回,C57BL/6Jマウスを用い,高脂肪食を投与することによって,食餌性肥満モデルを作成し,碁石茶の有用性について検討したので報告する. 実験動物は,C57BL/6Jマウス(雄,6週齢)を用いた.食餌性肥満モデルは,高脂肪食(HDF-60,オリエンタル酵母社製)を28日間投与することにより作成した.マウスは普通食投与群(水投与群・碁石茶投与群),高脂肪食投与群(水投与群・碁石茶投与群・緑茶投与群)の5群に分類した.評価項目は,体重,血糖値,血清中の中性脂肪(TG),総コレステロール(T-CHO),インスリン,アディポサイトカインおよび内臓脂肪重量とし,経時的に測定を行った. 高脂肪食投与群においては,体重は高脂肪食投与開始後,普通食投与群に比べ有意に高値を示した.碁石茶の継続摂取は,脂肪組織の細胞肥大化を抑制することが示された.また,碁石茶は,アディポサイトカインの中で,アディポネクチンレベルをND群と同レベルに維持し,TNF-α, IL-6レベルの上昇抑制作用を示した.これらの結果より,碁石茶は,メタボリックシンドロームに対して有用であると示唆された.