スラリーアイス製造装置と遠心分離機を組み合わせた懸濁結晶法による凍結濃縮システムにて,ブンタン果汁を用い濃縮を行ったときの成分分析,濃縮果汁の回収率から同システムの性能の有効性を調べた. 実験では11.0 °Brixのブンタン原液果汁を濃縮装置に投入し,13.2∼38.7 °Brixの濃縮果汁を得た.HPLC分析により,濃縮果汁のフルクトース,グルコース,スクロース,クエン酸,リンゴ酸,アスコルビン酸,ナリンギン,ヘスペリジン,リモニン,アミノ酸の各含量の分析を行った.その結果,すべての成分が原液果汁よりも濃縮され,各成分とBrix値の濃縮倍率には相関があり,線型的な関係が見られた.濃縮果汁の回収率を調べる実験では,約3倍に濃縮したときの平均回収率が87.9%であった.これによりブンタン果汁を用いた実験では本システムにて安定した濃縮が行え,しかも高い回収率が見込めることが示唆された.