肥満は先進国において深刻な問題であるが,脂肪エネルギー比の高い食生活が依然として続けられている.大豆食品の摂取は脂質代謝改善に効果的であることが知られている.通常食投与ラットでは乳酸発酵豆乳による脂質代謝改善効果が既報で明らかになっているので,本研究では高脂肪食投与時の乳酸発酵豆乳による効果を調べた.7週齢SD系雄性ラットをAIN-93G組成の基準飼料で1週間予備飼育後,AIN-93G組成基準食群(コントロール群,CO群),基準食の28.5%を牛脂に置換した高脂肪食群(脂肪エネルギー比60%)(HF群),高脂肪食の24.1%を乳酸発酵豆乳で置換した試験食群(飼料中大豆タンパク質10%含有)(HF-FS群)の3群(各群7匹)に分け5週間飼育した.飼育期間中に血漿脂質濃度と体脂肪量を,飼育終了後に肝臓脂質量を測定した.HF-FS群ではHS群に比べて血中TG濃度の有意な減少が認められた.また,HF-FS群ではHF群に比べて肝臓総脂質量,肝臓コレステロール量が有意に低下した.以上の結果から,高脂肪食投与ラットにおいて乳酸発酵豆乳を摂取すると,肝臓の脂質代謝を改善して血中TG濃度を低下させると推定された.