超音波画像診断装置のMモードを用い,液体からゲルまでの多様な力学的特性をもつ食品を自然な摂食様式(咀嚼なし,舌で潰す,歯で噛む)で3ml嚥下する時の舌の陷凹の動きを観察したところ以下の結果を得た. (1) 力学的特性は陷凹深度に有意に影響した.陷凹深度はゾルが最大で,水が最小であった. (2) 力学的特性の陷凹形成速度への影響は認められなかったが,陷凹消失速度への影響は有意であった.ゾル嚥下時の陷凹消失速度は一番大きかった. (3) 全ての食品において,陷凹消失速度は形成速度より有意に大きかった. 以上の結果から,食品の力学的特性により嚥下時の舌の動きは多様に変化することが示唆された.