「えん下困難者用食品」の基準で採用された2バイトテクスチャー試験において,測定速度が測定値に与える影響を検討した.市販の試験機4機種を用い,測定速度1mm/sおよび10mm/sの2条件にて試験動作を比較したところ,1mm/sでは,各試験機とも問題なく2バイトテクスチャー試験を実行できた.しかし,測定速度10mm/sでは動作方向反転時のノイズや設定距離を超過した圧縮,加速度設定による動作の遅れ等,機種毎に様々な違いが現れた.これらは測定速度が速くなった事により現れた機種特性であり,測定値に影響を与える事が示唆された. また,物性の異なる3種の試料を用いて,市販の試験機4機種により得られる測定値の機種間比較を行った.測定速度1mm/sでは「最大応力」,「負の仕事量」,第二の第一バイトに対する仕事量の比「A2/A1」または「a2/a1」に機種間で大きな差は生じなかった.測定速度10mm/sではゲル状試料の「最大応力」に機種間差は生じなかったものの,「A2/A1」および「負の仕事量」では機種間に大きな差が生じた.機種間の差が生じた要因として,測定速度10mm/sにて生じる機種特性が挙げられ,これにより算出されるエネルギー値が影響を受けたためと考える.測定速度が1mm/sの場合,以上のような試験機由来の各要因による測定値への影響は小さかった.