本研究では,2次元データである分光スペクトルを対象とした分光フィルタ設計法を応用し,かつそれを3次元データにも適用できるように拡張することにより,蛍光指紋の膨大な情報量を活かしつつ,計測波長条件数ごく少数に絞り,なおかつ高精度な定性·定量分析を行う蛍光指紋フィルタ設計法を提唱した.また本手法をYogurt multi-way fluorescence data に適用したところ,計測波長条件数を元の225から18または22に減らしつつ,蛍光指紋解析の従来法であるPartial Least Squares Regressionよりも高精度にリボフラビン含量を推定可能であることが明らかとなった.今後は,本手法を蛍光指紋の新しい解析法として活用していくこと,また本手法に基づいて実際に干渉フィルタを設計し,簡易分光蛍光測定システムや蛍光指紋イメージングに応用していくことが期待される.