蛍光X線分析による食品中の微量元素の簡易・迅速な分析法の開発を行ったところ,三次元偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いることで以下のように,カボチャ種子の無機元素組成の高感度定量が可能であった.最適化した測定条件で検量線を作成した結果,14元素(P,K,Ca,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Br,Rb,Sr,Mo,Ba)で直線性の良い検量線が得られた.また各元素の検出限界を算出したところ,重元素ではサブppmレベルの定量が可能であった.そこで,産地判別への応用を試み,カボチャ種子(日本,ニュージーランド,メキシコ,トンガ)計118試料を定量し,産地間で有意な差が見られた元素の定量値を用いて多変量解析を行った結果,4産地を判別する式を構築し,その正答率は70%~80%となった.本研究により,簡便な試料前処理で高感度な定量分析が可能な蛍光X線分析の食品分析における有用性を示すことができた.