本研究では,不知火姫菊の免疫調節機能を明らかにするため,花弁および葉の水抽出物がラットおよびヒト好塩基球様細胞株の増殖およびヒスタミン放出に及ぼす影響を検討した. 花弁および葉抽出物は,ラット好塩基球様細胞株 RBL-2H3 の増殖およびヒスタミン放出を終濃度10μg/mL 以上で有意に抑制することが明らかとなった.また,これらの抽出物のヒスタミン放出抑制活性成分は熱安定性が比較的高いことが示唆され,さらに,ラット RBL-2H3 細胞に比べて弱いものの,ヒト好塩基球様細胞株KU812に対しても抑制効果が確認された.これらの結果から,不知火姫菊抽出物が抗アレルギー活性を示し得ることが明らかとなった. 現在,花弁のみが製品原料として使用されているが,葉抽出物は花弁抽出物と同等のヒスタミン放出抑制活性を示したことから,葉部についても生理活性物質の給源として利用可能であることが示唆された. 一方,花弁乾燥物製品から生理活性成分を抽出する方法について,推奨されている土鍋と同等の生理作用がステンレス製の容器を用いることで回収された.この結果から,一般的な使用が普及しているIH調理器に対応するステンレス容器でその活性を抽出可能であることが示唆された.