加熱による牛乳アレルゲンの分子量変化を検討するために,市販牛乳,および β -ラクトグロブリンとラクトースの混合物をステンレストレー上で120°C,60分間加熱した.SDS-PAGE解析の結果,加熱した牛乳においては牛乳タンパク質の分子量が高分子側にシフトした. β -ラクトグロブリンにおいては,加熱によって2量体,あるいは3量体が生じた.またラクトースとの加熱によって β -ラクトグロブリンの分子量は高分子側にシフトし,PAS染色によって糖鎖修飾されたことが判明した.さらに抗 β -ラクトグロブリン抗体を用いたウェスタンブロット解析によって,単量体,2量体,3量体に加え,ブロードな多量体が検出されたことから,加熱された β -ラクトグロブリンが抗原性を保持していることが示唆された.