橙色系トマト(桃太郎ゴールド) のカロテノイド色素組成を明らかにし,調製したカロテノイド抽出物を拘束ストレス負荷マウスに投与して,生体内反応に及ぼす影響を調査した. (1) 桃色系トマトの主要カロテノイドは,リコペンおよび β -カロテンであるのに対し,橙色系トマトの主要カロテノイドはプロリコペンおよびフィトエンであり,他に7,9,9’- cis -ニューロスポレン,9,9’- cis --カロテン,di- cis -リコペン,ニューロスポレン β -カロテン等を含み,タンジェリン系トマトであることが明らかになった. (2) 桃色系および橙色系トマトから調製した,カロテノイド抽出物を拘束ストレス負荷マウスに投与したところ,両トマト抽出物とも拘束ストレス負荷により増加するマウスの血漿動脈硬化指数,肝臓の脂質重量やトリグリセリド量,総コレステロール量の増加を抑制した. (3) 同じく拘束ストレス負荷マウスで増加する,血漿および肝臓TBARS濃度は,両トマトカロテノイド抽出物の投与により有意に低下し,ストレスを負荷しないマウスと同レベルであった. これら結果から,桃色系と橙色系トマトのカロテノイド組成は大きく異なるが,いずれの抽出物にも,ストレス負荷時の脂質代謝改善作用および生体内抗酸化作用が期待できることが明らかになった.