非加熱食肉製品である生ハムにおけるaWおよび乳酸ナトリウムによる L. monocytogenes の制御について5試験機関で検討した. (1) 血清型の異なる L. monocytogenes の増殖に対する乳酸ナトリウムの影響試験から,供試した菌株の乳酸ナトリウムに対する感受性は,4種の菌株間で差がないことが明らかとなった. (2) 試験用生ハムで,いずれの試験機関でもaW 0.93(0.930≤aW<0.940) では, L. monocytogenes (血清型4b,Scott A株) は,10℃で56日間保管した場合に増殖しなかった.このことから,生ハムではaW0.93であれば,原料肉のpHや食塩濃度,亜硝酸塩および低温保管(10℃) などの条件が相加,相乗的に作用して, L. monocytogenes の増殖が抑制されるものと推測された. (3) 今回の試験では,aW 0.94(0.940≤aW<0.950) であれば,2%の乳酸ナトリウムを添加することによって L. monocytogenes の増殖が抑制されることが示唆された.