オキナワモズク由来フコイダンが種々のがん細胞の細胞運動に与える影響について検討した結果,フコイダンは種々のがん細胞に対して有意に細胞運動阻害作用を示すことが示された.また,この作用はフコイダン濃度依存的に発現することが明らかとなった.フコイダンによる細胞運動阻害機構を明らかとするため,マウスメラノーマ細胞株B16を用いて細胞運動に関与しているストレスファイバー形成について検討を行ったところ,フコイダンは濃度依存的にストレスファイバーの消失を誘導することが示唆された.ストレスファイバー形成機序の1経路である,myosin II regulatory light chain(MRLC) のリン酸化について検討したところ,フコイダンによるMRLCリン酸化抑制は認められず,むしろ増強する傾向が認められた.以上の結果より,フコイダンによる細胞運動阻害作用は,MRLC経路以外の経路により誘導されていることが示唆された.