本研究では増粘剤添加モデル試料を用い,増粘剤添加による炭水化物の消化性の差異を検討し,あわせて咀嚼・嚥下時の食塊の力学特性および感覚評価の検討を行った. 増粘剤添加による炭水化物の消化の差異については,in vivoのヒト試験による血糖値およびin vitroのGR法のどちらの測定方法においてもXG添加試料では血糖値および消化性が有意に低下することが確認された.咀嚼・嚥下時のヒトの感覚評価において,ひと塊での飲み込みやすさやまとまりのよさは,XG,GG添加試料がPS,W添加試料よりも有意に高かったが,XG添加試料は他の増粘剤よりも消化性や血糖値が有意に低かった.本研究で用いた増粘剤の濃度においては,咀嚼・嚥下の安全性と消化性の両観点からは,GG添加が有用であることが示唆された.