卵白·寒天·カードラン三成分混合ゲルの構造と破断特性を,各二成分混合ゲルをベースに明らかにすることを目的とした.さらに,ゲルに対する熱水による寒天溶出とプロテアーゼによるタンパク質分解を組み合わせ,局在構造を解析した. 三成分混合ゲルでは,明確に応力が減少する破断点を示さない,3種類の二成分混合ゲルのいずれとも異なる新規な破断特性を示した.また,三成分混合ゲルの構造観察では多糖類連続相,タンパク質分散相の相分離構造を形成した.また,各二成分混合ゲルの構造が局所的に存在する,不均質な構造であることが明らかとなった. 特に,寒天·カードランのミクロ共連続構造に卵白を添加する視点から考察すると,卵白が寒天部分では球状の凝集体に,カードラン部分では網目状に存在するマクロ両連続相構造に変化したと考えられる.また,カードランが卵白-寒天界面での構造破壊を抑制するためより壊れにくい破断特性になることが考えられる. 以上のように,複雑な三成分混合ゲルにおいて二成分混合ゲルを基盤とし解析することで,多成分系相分離構造と破断特性の関係において,連続体の重要性と分散相界面での相互作用の影響を示すことができた.