高脂肪高コレステロール食投与ラットにおいて,乳酸発酵豆乳中のイソフラボンのアグリコン割合の違いが肝臓脂質代謝に及ぼす影響を検討した.2種類の乳酸菌株を使用して乳酸発酵豆乳を調製し,高脂肪高コレステロール食投与ラットに摂取させた.7週齢SD系雄性ラットをAIN-93G組成の基準飼料で1週間予備飼育後,AIN-93G組成基準食群(コントロール群,C群),基準食の9.4%を粉末牛脂に置換し,大豆油と合わせて飼料中TG含有率を15%とし,0.125%をコレステロールで置換した飼料を与えた高脂肪高コレステロール食群(H群),H群の飼料の22.0%をアグリコン化能力の低いTUA4404 L株乳酸発酵豆乳で置換した群をN群,H群の飼料の22.4%をアグリコン化能力の高いTUA4408 L株乳酸発酵豆乳で置換した群をA群とし,4群(各群6匹)に分け5週間飼育した.H群と比較してN群,A群のどちらも血中脂質濃度上昇抑制作用と肝臓脂質蓄積抑制作用を示したが,その作用はN群よりもA群の方が強かった.肝臓のイソフラボンアグリコン濃度はN群に比較しA群で若干高値を示した.また肝臓の脂質代謝関連遺伝子発現量の変化もH群と比較しA群では大きな変化が認められた.以上の結果から,乳酸発酵豆乳の脂質代謝調節作用はTUA4404 L株乳酸発酵豆乳よりも,TUA4408 L株乳酸発酵豆乳の方が強いことが明らかになった.したがって,豆乳中のイソフラボンのアグリコン割合が肝臓の脂質代謝調節効果に影響していると推定された.