国内で入手しやすい麦類・米類・雑穀類合計12種類(全粒粉を含む)の穀粉とその焙焼粉について粒度測定を行い,粒度分布,RVA,X線回折,膨潤力,溶解度および水分収着量測定ならびに顕微鏡観察を行った. (1)平均粒径が20~30μm付近と小さかったのはトウモロコシ粉と薄力小麦粉であり,多くの穀粉には100μm付近に最多粒径のピークがみられた. (2)米粉の最高粘度,ブレークダウンは小麦粉の2倍以上大きく,雑穀類は多様なRVA特性を示した.焙焼粉では粘度が大幅に低下し,ブレークダウンが生粉の1/10以下に,最高粘度が生粉の1/3以下に低下した穀粉もあった. (3)糊化粘度が高い米類4種は膨潤力が高く,粘度が低い麦類3種,あわ,はと麦および焙焼粉は溶出成分が多いことがわかった. (4)焙焼粉の水分収着曲線の形状の変化ならびにX線回折強度の相対値の低下から,加熱による澱粉の低分子化が示唆された. (5)各穀粉の電子顕微鏡観察の結果,加熱前後の澱粉粒子表面に大きな変化は確認されなかったが,上述の結果から加熱処理は主に澱粉の内部構造を変化させたと考えた.