本研究では卵白-寒天共存ゲルの両連続相構造に着目し,このゲルの力学特性が強化されるナノメートルスケールのミクロ両連続相構造を形成することを目的とした.また,卵白と寒天の固形分濃度と配合の異なる共存ゲルの破断特性の差を構造の違いから説明することを目的とした. 相分離のスケールに関わらず,卵白および寒天の併用ゲルでは,その構造主体となる成分の破断特性が優先的に発現することが明らかとなった.しかし,卵白と寒天の両成分が連続構造となる両連続構造では,単独ゲルの性質とは異なる新規な破断特性を示した.特に,新規な両連続ミクロ相の形成は共存ゲルの力学的強度を強化した.この両連続のミクロ相分離は,ナノメートルスケールで相互貫入型のネットワーク構造であった.これらの結果より,ナノメートルスケールでの相互貫入ネットワーク構造の形成は,相分離ゲルの力学的強度を強化することが明らかとなった.