津軽海峡で養殖されているニジマス「海峡サーモン」について,新たなPG原料としての有効性を探るため,頭部軟骨を脳周辺部,前頭部,あご上部,鼻先目周辺部の4部位に分画し,部位毎のPG含有量と分子量分布を比較検討した.その結果,(1)脳周辺部と鼻先目周辺部の軟骨量については,全軟骨中で占める割合が33%および32%であり,前頭部やあご上部の20%および15%に比べて多いが,各部位の軟骨湿潤重量1gあたりのウロン酸量は17.6~21.8mg,タンパク質量は15.9~18.9mgであり,部位毎の大きな差は認められなかった.また,(2)部位別軟骨の熱水抽出物は分子量分布に違いは認められず,いずれの場合も天然サケの鼻軟骨熱水抽出物と同様,高分子量領域(平均分子量500万以上)に分布するPGが全PGの20~30%であった.以上のことから,海峡サーモンが従来の天然サケの代替品として利用可能であることが示唆された.