各種アブラナ科野菜の種子についてスプラウトを栽培し,アスコルビン酸含量を調査した. アブラナ科野菜は大きくアブラナ属とダイコン属に分けられるが,アブラナ属の中の,カリフラワー,ブロッコリーなど Brassica oleracea に属する野菜のスプラウトは,その他のアブラナ属やダイコン属のスプラウトよりも新鮮重量あたりのアスコルビン酸含量が高かった. Brassica oleracea に属する野菜の中でも最もアスコルビン酸含量が高いスプラウトはカリフラワーであった. アブラナ属のスプラウトは種子の重量とスプラウトの水分含量は逆比例し,種子の重量とスプラウトのアスコルビン酸含量は正比例する傾向が認められた.ダイコン属も同様の傾向にあったが,カリフラワーなど Brassica oleracea に属するアブラナ属のスプラウトは,種子1 gから生合成されるアスコルビン酸の量が,ダイコン属のスプラウトよりも多く,高いアスコルビン酸含量は水分含量の差によるだけではなく,アスコルビン酸生合成能力の高さにもよると推察された. ソバ(タデ科),オクラ(アオイ科)などその他の植物のスプラウトのアスコルビン酸含量はアブラナ科のスプラウトよりも低かった.