流通過程において鶏卵がうける輸送中の振動の影響を検討する目的をもって,実験室的に,振動方向および加速度に関し長軸方向0.6g,長軸方向1g,短軸方向0.6g,短軸方向1gの各条件で鶏卵に振動を与えた場合の品質の変化を,重量,気室,卵黄係数,Haugh単位,濃厚卵白直径,水様卵白直径,pHおよび卵黄影の浮動について測定,比較検討を行なった。その結果,振動による品質の低下は,加速度1gの場合にみられた。すなわち加速度1gの場合には,長軸方向,短軸方向両振動区とも振動後卵黄影の浮動するものが多く,さらに短軸方向1g区では卵黄係数の低下に有意差が認められた。また振動後卵黄影の浮動が明らかに認められたものは,卵黄係数およびHaugh単位が対照区よりも有意に小であった。