N6-ベンジルアミノプリン処理によって,茶葉の呼吸は抑制された。この呼吸阻害効果はチトクロームオキシダーゼ系による酸素吸収に強く,ポリフェノールオキシダーゼ系による酸素吸収への阻害率は低かった。 N6-ベンジルアミノプリンの呼吸阻害は,10pmpの濃度では7~8日を経過するときわめてわずかとなった。 N6-ベンジルアミノプリン処理によって,茶葉のVC酸化はおさえられた。この効果は5℃貯蔵の場合には,貯蔵6日以降のものに現われ,15℃区では貯蔵2日目のもの,25℃区では1日目のものに現われた。また低温貯蔵葉を常温下に取り出したのちのVC酸化は,無処理区の場合急速であるのに対し,処理区ではそれがおさえられた。 N6-ベンジルアミノプリン処理の貯蔵葉から造った茶の品質低下の期日が,5℃貯蔵区では3日,15℃区で1日無処理区よりも延長できた。また低温貯蔵葉を常温下に取り出したのちの品質低下を,N6-ベンジルアミノプリンは抑制した。 茶樹へのN6-ベンジルアミノプリン散布の影響は,10ppm程度の濃度では茶葉の硬化を若干抑制する効果が認められるが,薬害は茶樹にみとめられなかった。