摘採後の茶葉内で,貯蔵中酸化酵素および加水分解酵素力価が変化することを認めた。 (1) カタラーゼ,パーオキシダーゼは,貯蔵中力価が高くなる。カタラーゼの力価の上昇は低温度区ほどおそいが,パーオキシダーゼの力価上昇の時期には温度による差がなかった。また両酵素とも貯蔵時間の経過とともに力価は再び低下するが,その場合低温区ほどおくれる傾向があった。 (2) ポリフェノールオキシダーゼ力価は,15, 25℃区では貯蔵48時間目に始めの4倍以上に上昇していたが,5℃区は力価の変動はわずかであった。 (3) プロテアーゼ,インベルターゼは貯蔵中活性化するが,この力価の上昇は低温貯蔵区(5℃)がもっとも大きかった。 この酵素力価が貯蔵中に高くなり,貯蔵温度によって力価の変動が酵素によって異なる傾向を示す理由については,各酵素の特性と考えられる。この点についてはさらに検討したい。