摘採葉内のVCの変化について調べた。 (1) 茶葉摘採後VCの減少が起こるが,この場合損傷部では短時間の間に還元型VCの減少と,酸化型VCの増加が著しかった。 (2) 貯蔵中VCは時間の経過とともに減少するが,この変化には温度の影響が大きくて,15, 25℃では貯蔵1日目に残存率40%, 22%となるが,5℃では貯蔵8日目でもVCの残存率35%を示した。 (3) 貯蔵中のVCの減少には,茶葉内の糖濃度が影響する。このため茶葉に糖をすわせ糖濃度を高めると,VCの減少は抑制される。これは糖の一部がVCに転換し,VCの減少を補うためと考えられる。 (4) 茶葉を凍結した場合,茶葉内のVCは凍結・解凍の過程で著しく減少する。この場合ポリフェノールオキシダーゼも活性化しているところから,VCの減少はポリフェノールオキシダーゼによる酸化が関係しているように考えられる。 (5) 茶葉を高炭酸ガス濃度の気相中で低温貯蔵した場合,貯蔵中のVCの減少は抑制されたが,この茶葉を空気中に取り出すと,VCの酸化が促進される。この原因は茶葉が高炭酸ガス濃度下に置かれたため,生理障害を起こしこれがVC酸化機能を活性化するためと考えられる。