(1) 茶葉を5℃の低温に貯蔵した場合,茶葉温度が貯蔵温度までに低下するのに,約3時間かかった。 (2) 茶葉を低温貯蔵する際,開放容器では貯蔵8日目には,茶葉水分が減少し28%程度の重量減が起こったが,この容器をポリエチレンで被覆したところ,貯蔵中の水分の蒸発を防ぐことができた。この場合50lの容器に1kgの茶葉を入れ,ポリエチレンフィルムで被覆すると貯蔵8~10日目には,容器内の炭酸ガス濃度は4~5%となった。 (3) 貯蔵葉から造った緑茶で,揮発性酸とエステルの変化を調べた。低温貯蔵区では貯蔵初期一時酸は減少するが,その後再び増加した。エステルは貯蔵中に増加した。いっぽう常温貯蔵区では酸・エステルとも減少した。 (4) 揮発性カルボニル化合物とアルコールは,低温貯蔵中茶葉内にしだいに増加していた。なおこの傾向は高炭酸ガス濃度下に貯蔵した区が著しかった。常温貯蔵区もこれら成分の増加がみられた。 (5) 貯蔵葉から紅・緑茶を製造し,その品質を調べた。 貯蔵温度と品質の間には大きな関係があり,25℃では48時間目,15℃では96時間目に変質が香味に認められた。 低温貯蔵(5℃)では,貯蔵144時間目までは,香味は生鮮な状態を維持しているが,192時間目になると,若干香味に生鮮さが減り,水色もやや赤味を帯びるようになった。