屠殺前のめん羊にパパインを注射し,前報のパパイン注射した牛肉の結合組織窒素および水溶性窒素の値を基準にして,パパインの注射量,貯蔵温度および屠殺後の経過時間について検討した。 その結果注射量は生体重1kgに対し1.0ml (37.5単位)以上を注射すれば,前報のパパイン注射牛肉と同程度の結合組織窒素にまで減少させることができ,したがって柔らかさも与えられるものと思われる。 また貯蔵温度は,-10℃以下に保たなければ,緩慢なる分解が進んで,肉質によい影響を与えないものと思われる。 さらに屠殺後の経過時間は,本実験の条件下では,屠殺後暫時持続する体温の影響で急速に分解するから,屠殺後48~78時間程度経過すれば目的効果は十分である。