(1) 卵殼の強度を,新鮮時・貯蔵後別に,また加圧方法(卵の長軸方向,長軸に直角方向,あるいはフラット使用)を変えて,圧縮試験機を用いて測定し,別に同一鶏の多数の卵についてのくりかえし測定をも行ない,同時に得た卵殼の厚さ,卵重量,shape indexなどについてめ測定値をもあわせて,統計学的に各種の比較検討を行なった。 (2) 新鮮時と貯蔵後によって強度に差は認められなかった。力の加え方に関しては,長軸方向の場合のほうが長軸に直角な方向の場合より強度が大であった。また鶏によってもその卵殼の強度に差が認められた。新鮮時・貯蔵後,加圧方法および鶏の各2者相互間の交互作用は認められなかった。卵の両端にフラットをあてがうと,破壊に要する力は著しく増加する。 (3) 全体的にいうと,鈍端と鋭端とでは強度にとくに大きな差はないようであるが,長軸方向の力が加えられたとき鈍端がこわれる卵は鋭端がこわれる卵よりも,一般的に卵殼が厚く強度が大である傾向がある。しかし同一鶏の卵の間ではこのような傾向は認められなかった。 (4) 強度,卵殼の厚さ,卵重量およびshape indexの各2者相互間の相関係数を,新鮮時・貯蔵後,加圧方法の別によって求めた結果,いずれの場合にも,強度と卵殼の厚さとの間には正の相関関係の存在することが認められたが,強度と卵殼の厚さとの間以外には有意な相関は認められなかった。ただし,フラット使用の場合の強度とshape indexとの間には弱い正の相関関係の存在する可能性が考えられる。同一鶏の多数の卵を対象としたときにも,強度と卵殼の厚さとの間に正の相関関係の存在が認められた。この場合には,さらに,強度と卵殼の厚さとの間以外にも,鶏によっては相関関係が存在する場合もあったが,一般的な結論は下し得なかった。