現在目標とされている混合液糖中の,ブドウ糖量測定法について検討した。次亜ヨウ素酸法を用い,その際におけるアルカリの種類と濃度と使用量,反応時間,測定時の温度などの条件を変えて,共存するショ糖,果糖の影響の少ない測定条件を求めることを目的として,本実験を行ない,下記の結果を得た。 (1) ショ糖,果糖の共存量が多くなると,その影響をうけて,測定値は過大となる。とくに水酸化ナトリウム溶液を用いる条件で著しい。 (2) 供試液10ml中のブドウ糖量を約0.1gに規制し,それに対して0.1Nヨウ素溶液20ml, 0.25N炭酸ナトリウム溶液20ml,反応時間30分間の条件では,相当多量のショ糖,果糖の共存下でも比較的正確に,ブドウ糖量を測定し得る(約2%以内の過大値で)。 (3) 果糖はショ糖よりもブドウ糖測定値に,大きい影響をあたえる。測定時の温度による影響も大きいので,20℃付近での測定が望ましい。 (4) 0.1Nヨウ素溶液1mlに相当するブドウ糖量は,測定条件によって多少変動する。同一条件でも,測定時の温度が異なると変動するので,試料と同時に基準ブドウ糖液の測定を行ない,その数値を基準として求めることが望ましい。