トリス-クエン酸緩衝液,尿素およびメルカプトエタノールを用い大豆蛋白質の澱粉ゲル電気泳動法の検討を行なった。古くからの各種の抽出法および新しい分画法で得られたものを凍結乾燥して試料とし,成分あるいは純度を調べた。抽出率のもっともよい緩衝溶液抽出蛋白質の泳動の結果,少なくとも陽極方向に泳動する11成分と陰極方向に泳動する3成分が検出された。水抽出および酸沈殿蛋白質の泳動図は非常によく似ており,緩衝溶液抽出蛋白質とほぼ同様の成分が検出された。陽極方向に泳動する成分8, 9, 10と陰極方向に泳動する成分12, 13, 14は低温,透析処理で同一挙動を示し,CIFとグリシニンにとくに多く検出された。本泳動法で検討すると古くから行なわれた硫安分画法では十分に分画されないことが明らかにされた。WOLFらが大豆蛋白質の主成分であると考えた水抽出液の低温不溶区分(CIF)には少なかったが,緩衝溶液,水抽出および酸沈殿蛋白質の泳動図で最も呈色度が強く主成分と考えられた成分10およびアルブミンと推定される2分画区分を得ることができた。