白肉桃,大久保種を未熟果と完熟果に分け,それぞれ5℃および10℃に,1~5週間冷蔵して,障害の生成について実験した。 未熟果は5℃, 2週間でかっ変を生じ,かっ変果は蒸気による剥皮不能となったが,10℃では4週間後にもかっ変は全く生ぜず,剥皮も可能であった。完熟果は5, 10℃いずれも4週間目にかっ変した。しかし異味,異臭の発現は早く,10℃で未熟果は2週間目に,完熟果も3週間目に生じた。 以上の結果から未熟果を冷蔵する場合には,温度が高いほうが剥皮障害とかっ変は生じがたいことが認められた。また貯蔵中に熟度が進行し,5℃では4週目,10℃では3週目にはほとんど完熟の状態となった。しかし果肉色調は白っぽく,しだいに暗色化してゆき,異味,異臭が比較的早く生ずるから,罐詰原料としては,5~10℃の場合には実用的に1週間が限度と考えられた。