フードレオメーターを用いてメン生地およびユデメンの水分含量と応力-伸びの関係について測定を行ない,つぎのような結果を得た。 (1) メン生地の応力-伸びの関係曲線から求めた最大応力の対数値と水分含量とは直線関係になる。これは従来の研究者らがパン生地の粘稠度と水分含量との関係について報告している結果と同一傾向を示し,著者らが測定した最大応力の意味を検討するひとつの手がかりになる。 (2) メン生地の応力-伸びの関係曲線から推測すると,メン生地の結合水は無水物基準で約38%と考えられるが,この値は従来の研究者らの報告している値の範囲内にある。 (3) 小麦粉に添加する水の量が小麦粉1kgに対して300g以下では最大応力の対数値が,水分含量の少ないほうへずれたような傾向を示し,350g以上の水を添加した生地との間に性質の違いがあることが推察された。 (4) コデメンではメン生地のばあいと異なり,水分含量を変えて測定した応力-伸びの関係曲線に延性破壊の形が現われず,メン生地のばあいの推論からいえば,高水分含量のユデメンでも遊離水を持たないことになる。しかし,他の実験結果からみると水分含量が180%くらいより多いときには遊離水を持っているように思われ,これはゆでることによる澱粉の糊化や蛋白質の変性のために延性破壊がおきないためではないかと考え,さらに検討中である。