酸味料溶液(酢酸,乳酸,リンゴ酸,コハク酸,酒石酸,クエン酸)にCMC-Naを加えたときの粘性が,酸味料を含まないCMC-Na液の粘性とどのように異なるかを検討し,つぎのような結果を得た。 (1) 酸味料溶液にCMC-Na(試料としてセロゲンF-SBを使用)を加えたとき,酸味料の種類やそれによる滴定酸度が同一であっても,CMC-Naが濃くなるにしたがってpHが高くなる傾向がみられた。とくにこの傾向はCMC-Na濃度10g/l以下において著しい。 (2) 酸味料を含むことによってCMC-Na液の還元粘度は低下するが,低下の傾向はCMC-Na液のpHによって支配され,酸味料の種類や濃度には無関係である。 (3) CMC-Na濃度が5g/l以上になると,pH 4くらいまでは還元粘度の低下はきわめて少ないが,それ以下のpHになると急激に低下する。このばあいの還元粘度の低下は酸味料による水素イオンの影響だけではなく,CMC-Naがもっと本質的な変化をおこすことによるものではないかと考えられる。