第1回(昭和37年)および第2回(昭和38年)の実験結果からは,次のことがいえると考える。 (1) 柿罐詰の白沈は,糊性添加物の使用および糖の高濃度処理と相まって,温度管理を適切に行なえば完全に防止できると考える。 (2) 添加物の比較では,ペクチン添加区はシラップ液が明度高く,果肉の色調も良好であり,さらにまた,肉質のしまり硬化も比較的に少なく食味もすぐれ,柿罐詰における添加物としてはもっともすぐれていると考えられる。これについではCMCが比較的によい成果が得られ,カルゴン,MC-S-4,000も対照区よりは相当によい成果が認められた。なお水飴単独区はシラップ液に光沢があり混濁もなくすぐれているが,果肉質の褐変が激しく黒変化し,さらに,肉質のしまり硬化が強く現われるので食味が劣る傾向が認められた。 (3) 添加物使用量は,いずれも罐詰内容総量の0.1%がよく,糖濃度ではBx 40°の場合は果肉質がしまり硬化し食味の劣化が強く現われ,Bx 20~30°度の場合は食味の劣化が少なく適当な糖度と考える。 (4) 罐詰に際しての固形量の歩留りは,糖の濃度により異なるが,糖Bx 22~30°の場合には7~10%増しで肉詰めするのが適当と考える。 (5) 脱気温度は中心75℃達温,殺菌は75℃で20分間が比較的に果肉質のしまり硬化をおさえ,食味の劣化も少ないので適当な処理温度と考える。