(1) 市販各種パン酵母とフライシュマン酵母のアミノ酸の利用性は菌株により多少の差異が認められる。 (2) ほとんどの菌株がシステイン,グリシン,ヒスチジン,リジン,シスチンのみを窒素源とした場合,ほとんど生育しない。 (3) 窒素源に硫酸アンモニウムを添加して上記5種アミノ酸の生育阻害を検討した結果,システインは全菌株にわたり強烈に阻害し,ヒスチジン,グリシン,シスチンは若干阻害をするが,リジンには阻害現象が起こらなかった。 (4) システインの阻害感受性は菌株により異なるが,ユ株を除いて0.3mg/ml以上の濃度で生育阻害の傾向が現われる。これはMAW16)が阻害は0.0945mgで起き,0.755mg/mlで生育しないという結果と少し異なるようだがパン酵母の多種のものについて,著者は0.26mg/ml以下については実験しておらず,完全阻害はほぼ0.8mg/mlであるという結果を得た。 (5) システインを添加して培養すると24時間前後がもっとも阻害を受け,このときカタラーゼ力価は増大する。 (6) 生育阻害除去物質について種々検討の結果カザミノ酸がもっとも有効であり,これの添加により,カタラーゼ力価は対照同様な値になる。 (7) 各種アミノ酸のうちでグルタミン酸,アスパラギン酸,メチオニン,トリプトファンがこの順である程度阻害を除去したが,グルタミン酸,アスパラギン酸,メチオニンの3種を同時に添加することにより,92%0の回復率を得た。