タバコ緑葉の澱粉含量の変異について,黄色種(ヒックス,ブライトエロー)と在来種(松川,達磨)を比較しつつ研究し,以下の結果を得た。 (1) タバコ緑葉の澱粉含量は芯止め期には黄色,在来両品種ともにほとんど差異は認められない(無水物当り5%前後)が,生育につれて黄色種では急激な増加を示し,その含有量は無水物当たり50%にも達するが,在来種では10%前後で黄色種に比べかなり低い。 (2) タバコ緑葉澱粉量の着葉位による変異が見られるが,これは葉の成熟度の違いによるものと思われる。 (3) 成熟期におけるタバコ緑葉澱粉含量の1葉中の部分差を調べたところ,著しい差異は認められないが,概して先端部に多い傾向にある。 (4) 成熟期におけるタバコ緑葉の澱粉量の昼夜(快晴日)における経時変化はほとんど見られないが,澱粉のアミロペクチン/アミロース比(3.4~4.6)は昼間が夜間より低い傾向が認められる。 (5) 鉄管乾燥において,黄色種(ヒックス)タバコ葉の澱粉は乾燥初期(黄変初中期)に大部分が分解消失する。