洋半紙(25×75mm,厚さ0.01mm)を2.5% BHAアルコール溶液に30分間浸漬し,4.1mg/枚のBHA吸収量の処理紙を調製した。 そのBHA吸収処理紙をオコノミアラレ,フライ豆のそれぞれ100gにBHA濃度が0.02%になるよう5枚適当に入れ,いわゆる間接添加法にて食品を保存し,貯蔵中のBHA吸収処理紙中のBHAの損失および食品の移行量などについて検討した。 (1) BHA吸収処理紙中のBHA定量は,温アルコールにて抽出し,紫外部(291mμ)の吸光度を測定し求めた。 (2) 油脂および食品中のBHAの定量は(食品の場合はエーテルにて抽出した油脂),まずシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィーで大部分の油脂を石油ベンジンにて除去し,ついでメタノールにてBHAを含む部分を抽出し,得られたメタノール抽出部について水蒸気蒸留(170~180℃)を行ない,蒸留物中のBHAをエチルエーテルにて振とう抽出し,2, 6-di-chloroquinonechloride発色法(620mμ)で求めた。BHAの回収率は数回とも86%内外であった。 (3) 間接添加した処理紙中のBHAは次第に減少し,放置30日間でBHAの損失は約30%, 50日目で45%あった。 逆に食品中のBHAは除々に増加し,移行率は,30日目で約10%, 50日目で15%である。 したがって酸化防止剤BHAの間接添加法による保存効果は,BHA吸収処理紙よりBHAが蒸散し,蒸散したBHAが食品に付着したり,あるいは処理紙との接触部分より食品に移行した結果と考えられる。