アメリカカリフォルニアにおける米の収穫,乾燥,貯蔵などについて,実地に研究すると同時に,アメリカカリフォルニアの技術を日本に導入する場合の問題点を研究した。 〔収穫〕コンバインの構造と諸機能を研究すると同時に,コンバインの利用を有効にするための条件を研究した。コンバイン収穫における損失の総計は通常4~7%で,そのなかには3つの重要な因子がほぼ同じ比重で関係している。また実用向な水分の迅速測定法を付記した。 〔乾燥〕カリフォルニアにおいて,エレベーター方式で水分24~26%の高水分米を乾燥する際には,送風温度,穀温とも比較的低く保ち,きわめて徐々にかつ何回も乾燥操作をくり返し,またtemperingを非常に重視することにより,米の品質を保っている。 日本でも収穫直後の水分24~26%の高水分米の加熱乾燥を行なう場合にはこの2つの原則が重要であり,予備乾燥で水分を18~20%に下げた米を加熱乾燥する場合とは,条件を変える必要がある。 またフラットビンおよび金属ビンは,乾燥と貯蔵を同じ施設で行なうことができる上,自然空気を用いて乾燥するため,きわめて経済的であり,日本においては今後この方式の普及が大きく期待される。 〔貯蔵〕カリフォルニアでは貯蔵米の品質保持の条件として,米の水分を十分低くし,13%以下に保つこと,穀温を低く保つことの2点のみを重視し,これによりすべての病虫害,自然変質を防げるとしている。貯蔵米の穀温が万一上がったときはaerationまたはturningにより,穀温・水分を下げている。カリフォルニアの貯蔵に良好な気候条件とことなり,日本では5月~9月は高温多湿なため,日本特有の気候条件に合致し,かつ日本人特有の品質要求にこたえ得るような品質管理規準が必要である。最後にとくに白米貯蔵について一言した。日本で夏期に白米を安全に貯蔵するためにはコーティング技術の開発と,小型の低温倉庫のより広範囲な利用が必要である。