袋詰めしょう油きざみ漬保存中の成分変化と微生物の動態をソルビン酸添加,無添加(対照)の両区について比較試験した結果, (1) 成分的には糖の減少,滴定酸度Iの増加,pHの下降などの変化がみられる。これらの変化は保存の比較的初期に急激に進行するが,ソルビン酸添加により若干おくれて惹起し,その程度もやや弱い。 (2) ソルビン酸添加区では酵母の増殖は阻止され,袋のふくれはみられない。対照区では初期より酵母数の増加がある。 (3) 乳酸菌の増殖も初期よりおこる。ソルビン酸の乳酸菌増殖抑制効果は僅少にとどまる。保存初期にはStreptococcus, Lactobacillus, Pediococcus, Micrococcusが混在するが,保存後期にはLactobacillusが主体をしめる。 (4) 分離細菌はLactobacillus plantarum, Streptococcus faecalis, Pediococcus halophilus, Micrococcus varians, Bacillus subtilisに属する菌株であるが,Lactobacillus plantarumはかなりの耐塩性を有し保存中の酸度増加の主原因をなしているものと推定される。