インスタントティーを製造するために茶抽出液の凍結乾燥について研究し,茶抽出液の氷晶点を明らかにするとともに,予備凍結温度と乾燥状態,最高許容品温などについて検討し,つぎのような結果を得た。 (1) 茶抽出液の氷晶点を測定するため,共和式氷晶点電気抵抗測定装置を用い,茶抽出液の凍結に伴う電気抵抗の変化を調べた。その結果,電気抵抗値の増大は-23℃までは比較的ゆるやかであるが,-23°~-26℃の間に急に増大し,-26℃以下で再びいくらかゆるやかに増大し,抵抗値が無限大に近づいた。そして,凍結乾燥が成功する凍結状態は106Ω・cm程度であるといわれているが,茶抽出液では-25℃でこの程度の比抵抗を示した。 (2) 予備凍結温度と乾燥状態との関係を調べた結果,乾燥開始時の氷温が-20℃以上のものは乾燥中に融解現象が認められ,完全に乾燥することができなかった。-20℃以下の氷温のものはこのような現象はなく,完全に乾燥できた。 (3) 伝導加熱方式の乾燥機では最高品温約30℃が品質と乾燥収縮の状態からみてよいようであった。しかし,乾燥能率を上げ,製品の水分を少なくしたい場合には最高品温約45℃に上げても,品質はあまり劣らないようであった。品温約60℃になるとわずかであるが融解現象が起り,よくないようであった。 放射加熱方式の場合は最高品温45℃が品質面からよく,能率面からみると品温60℃くらいまで上げてもよいようであった。